私たちは、湿地等の自然の恵みに育まれた文化や食の体験を通じて、その魅力や大切さを伝え、湿地等の自然環境のファンを増やす活動を行っています。
しかし、多くの市民は湿地や自然について知る機会がなく、関心も低いため、保護の機運が生まれず、湿地等の脆弱な自然環境は人知れず消失し続けています。
例えばかつては、神社や家庭で近隣の湿地からスゲを刈り、〆縄を綯う風習がありましたが、湿地の減少や過疎・高齢化、さらにコロナ禍の影響で衰退しています。そこで私たちは、スゲ群落を見つけ、収穫から〆縄づくりまでを学ぶ活動を継続しています。
また、食文化の継承にも力を入れています。育てたエゾカンゾウの花や蕾を採取し、薬膳の専門家とともにレシピ開発や食の体験会を行っているほか、ヒシの実を採取し、アイヌ文化の専門家に料理を教えていただいたりしています。
今年は〆縄用のスゲを収穫しやすくするための「スゲ田づくり」を本格化させ、〆縄づくりを教えられる人材の育成にも注力します。
さらに、湿地の魅力を地域活性化と持続可能な形に結びつけるため、「産業化」「収益化」を目指し、マコモダケ栽培の拡大や観光業者と連携した体験プログラムの開発、質の高いガイドの育成にも取り組んでいきます。
1) 社会教育の推進を図る活動
① 野草の栽培
・エゾカンゾウ畑の維持管理(余市エコビレ畑での除草・補植・鹿除け)
・カサスゲ採取地の試験的管理(月形知来乙での他草種除去)
・カサスゲ育苗(採種→播種→育苗) →スゲ田づくり試行へ
② 野草の利活用の体験学習
・スゲ利活用の体験学習WS(7月採取・11月〆縄づくり)
・湿地文化体験「〆縄を作ろう」(12月しめっちネット共催)
・エゾカンゾウを利用した食・薬膳の体験学習WS(6月)薬膳講師
③ 野草の収穫・加工・利用の体験
・栽培植物の収穫・利用 ・・・エゾカンゾウの蕾・花(5月)
・自生植物の収穫・利用 ・・・マコモ茶、樹木(3月)
・カサスゲの収穫・利用
④ 野草観察会
・野草観察会(4月)
⑤ 野草の利活用の提案・販売
◆ 苗植栽・育成
(継続)エゾカンゾウ(食用・薬膳)カサスゲ(〆縄)ミズゴケ(湿地再生)
(新規)オオバクロモジ(お茶)ツルコケモモ(食用)シロバナヘビイチゴ(原種イチゴ)
◆ 野草採取
(継続)ヨモギ、ヒシ、イラクサ、ハマナス花弁等(食用・お茶・薬膳ほか)
(新規・検討)マコモ、ドクダミ、スギナ
2) 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 (「環福連携」活動)
① デイ・ケア利用者等等を対象とした園芸療法や森林セルフケアの指導
対象:江別すずらん病院 (今後増やしていく)
② フリースクールで湿地の環境学習と苗づくり(授業と育苗活動)
対象:自由が丘学園
3) 連携事業
連携先:石狩川流域湿地・水辺・海岸ネットワーク(しめっちネット)
① 湿地の学習とミズゴケの増殖栽培活動(継続中)
対象:星置養護学校
4) 受託事業
① アイヌ文化に使われる植物の調査・提案業務
② 清掃工場周辺での住民参加の森づくり事業
③ 自生樹木の種子・果実採取業務
【2017年以前の活動内容】
人まち育てI&Iは、2009年に設立されたNPOですが、セミナーや研修会に講師を派遣したり、相談業務など様々な市民活動の支援を行いました。
また2010年からは、札幌市内4ヶ所でコミュニティファームの造成を行っています。
コミュニティファームの造成・支援
NPO法人ひとまちそだてI&Iでは、中央区、東区、南区、手稲区の札幌市内4か所にコミュニティファームを造成しています。
それぞれの場所ごとに子どもや学生、高齢者などと一緒に作物を作り、地域住民との交流を図るプログラムを展開しています。
農作業を介して、生きがいや癒しの場をつくり、高齢者や障がい者の施設、町内会、子どものグループなど異世代、異分野のネットワークを育てます。
セミナーやイベントの開催
まちづくりやコミュニティファームに関して、セミナーを随時さまざまなところで実施しています。
また、ワークショップなども運営し、広く市民・企業・行政の方々に、コミュニティ形成に関する学びの場を提供しています。
セミナーやイベントの開催予定情報については、こちらのブログをご覧ください。
ラーニングガーデン
ラーニングガーデンとは、菜園を使って子どもたちにさまざまなことを教える教育プログラムです。
農作業のやりかただけではなく、生態系などの環境教育や、豊かな国際感覚、チームワークやリーダーシップなどを育みます。
人まち育てI&Iでは、ラーニングガーデン発祥のポートランドでコミュニティファーム等を学んできたブレット・ヘンドリクス氏の協力を得て、このラーニングガーデンを北海道にて行なっていきます。
コミュニティ・まちづくり支援